桜の頃には…
切り花の早咲きの桜が、
気がつくと開き始めていた。
今日も寒い1日だったけれど、
ガラス窓の内側の植物は寒さを知らない。
新宿でも住宅街のこの辺りでは、
休みの日の人出はまばらで、
1年近く世界中を騒がせている不安さえ
何も無いような錯覚に一瞬だけ陥る。
大きな病院がいくつかあるため、
1日に数回の救急車サイレンが、
けたたましく音を放ち走りゆく。
窓をしっかり閉めても聴こえる叫びみたいで
その度に、ドキッとするんだよね。
本当の桜の頃、
あと2ヶ月と少し先には、
また新宿御苑に花見客が集うくらい、
この街も穏やかになっているのかな?
全く先のことが読めないから、
今日何を、どれくらいしたら良いか迷う。
答えはとてもシンプルで、
「出来ることを、出来るだけ」なんだけど、
明日世界が終わってしまっても後悔しないように…なんて、
やたら大袈裟に考えたりしてしまう。
春よ、目をつむっている間に、
冬を飛び越してやって来ておくれ。